
岸田政権の原子力政策に難題が浮上した。昨年、東京電力福島第1原発事故2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東電福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の6基のうち1~5号機で全交流電源が喪失し、1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。1、3、4号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。以降に停滞した再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。規制委に審査を申請した原発のうち、2023年10月27日時点で12基が再稼働している。関西電力、九州電力が11基、四国電力が1基。の促進や新たな建設容認へ政策転換したが、能登半島地震で石川県志賀町の北陸電力志賀原発が被災。断層活動や住民避難で想定外の事態が...
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