燕市にある県立吉田特別支援学校の校長室ではたくさんの笑顔に出会える。部屋に遊びに来た子どもたちと森田隆行校長が仲良く並んで撮った写真が、壁に何枚も飾られているからだ

▼「ここに来てくれるとうれしくなって、撮っていいか聞くんです」と、昨年4月に赴任した森田校長は声を弾ませる。学校は県立吉田病院の敷地内にあり、心身に不調があって転校してきた小中高校生40人余りが治療を受けながら学ぶ

▼教職員は病院の医師らと情報共有し、一人一人に寄り添った対応を心掛ける。本年度は地元の音楽隊などを招き、交流会を開いた。これまではプライバシーへの配慮などから、地域の住民と触れ合う機会は少なかった。子どもたちは口々に学校が楽しいと喜んでいるという

▼県内の学校などを対象とした「特色ある教育実践」の論文審査に応募し、優秀賞を受賞した。「これをきっかけに保護者や子どもたちが学校に自信をもってほしい」。森田校長は期待する

▼最優秀賞には、新潟市立内野中学校希望が丘分校が選ばれた。児童自立支援施設新潟学園などと連携しながら、子どもたちの教育ニーズに沿った支援が評価された

▼最近は全国的に発達障害や不登校の子どもの数が増えている。学級崩壊も深刻化している。教員はどう対応したらいいのか、手探りの日々だろう。内野中の佐藤靖子校長は「受賞は職員の励みにもつながる」と受け止める。子どもも先生も笑顔が広がる学校をつくりたい。現場での取り組みが続く。

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