自民党の裏金問題が浮上して以来、どうもよく分からないものがある。いや考えてみれば、以前から理解できてはいなかった。政治資金と私的なお金との境界である

▼派閥から受け取ったカネの使い道を問われて「飲食や会合など政治活動に使った」と答えた議員がいた。飲食は政治活動といえるのかどうか。相手方や場所など詳細の説明がなければ判断できない

▼だが、そうした説明があったという話はあまり聞こえてこない。「私的流用はない」という主張もしかり。収支報告書を訂正しても、支出欄が「不明」という記載ばかりではおよそ説得力がない

▼海外出張の際の経費にしたという説明もあった。以前には、研修の名を借りた私的旅行のようで政治活動とは名ばかりという批判を浴びた議員もいた。あんな使い方はしていないでしょうね。意地の悪い見方をしてしまう

▼政治資金の扱いであれば課税対象にはならない。逆にいえば、政治資金として認められないカネを得ていながら申告せず納税の義務を果たさなければ脱税だ。使途をはじめとする説明がない現状に野党議員は、不正に得た資金を合法化する「マネーロンダリング」という言葉を使って非難する

▼そのカネは政治資金なのか。白と黒の間には、灰色のグラデーションが広がっているのかもしれない。その領域が広ければ広いほど、日々納税に追われる国民の政治不信は強まっていく。あさってからの確定申告を前に、きょうは国会で政治資金問題が集中審議される。

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