官製談合への組織的な関与は認められず、幹部職員の独断だったと結論付けた。調査結果は額面通りに受け止め難い。

 再発を防ぐには入札制度を改めるだけでなく、県幹部をはじめ職員は業務に際し規律を守る自覚を持つよう努めねばならない。

 県新発田地域振興局が発注した工事の入札を巡る談合事件を受けて、県は歴代担当部長らを対象にした入札情報の漏えいに関する調査結果を公表した。

 聞き取った10人のうち8人が、予定価格などの秘密情報を業者に伝えたと認めた。漏えいが常習化していた実態が鮮明になった。

 官製談合防止法違反罪の公訴時効は5年で、大半は時効が成立しているが看過できない。県の職員や事業への信頼をおとしめる行動だと言わざるを得ない。

 談合事件では、農地区画整理工事で入札予定価格を事前に業者に漏らしたとして昨年9月、当時の振興局農村整備部長が防止法違反などの疑いで逮捕、起訴された。

 1月の新潟地裁判決で、この部長と業者の元顧問ら4被告が執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 所属長自らが漏えいし、公平であるべき入札制度をゆがめた責任は極めて重い。県は防止策を徹底し、二度と談合事件を起こさないようにしなければならない。

 聞き取り調査は、裁判でこの部長が、着任前から長年漏えいがあったとほのめかしたことで始まった。防止法が施行された2003年以降の部長らから聴取した。

 漏えい内容は、指名業者や予定価格などだった。業者が提示した入札額に「もっと上」などとおおよその額を教えた事例や、年間の発注予定と概算工事額を示した事例もあった。

 法施行の直前だが、地元業者を「本命業者」として指示した幹部もいた。特定の業者とみられ、地元関係者の要望として伝えた。

 調査結果で解せないのは、漏えいについて前任者から引き継ぎや他者への相談がなく、組織的な関与がなかったとしている点だ。

 歴代部長が教えていたと業者から告げられたとの回答だったという。多くの部長が業者の言うまま独断で違法行為をしたなら、県農地部のゆがんだ組織体質を疑う。

 「業界がうまくコントロールされるのであれば良いと考えた」と述べた幹部もいる。防止法の趣旨を理解せず、順法精神が欠けていると指摘しておきたい。

 県は再発防止策として、より広く入札参加者を募集できる「制限付き一般競争入札」や、価格に加え工事の質や技術などを加味する「総合評価方式」の適用範囲を拡大する。不正発覚時の指名停止期間も長くする。

 同時に、職員への注意喚起や研修を不断に行い、業者との不正な癒着を避け、職業倫理を維持するよう徹底してもらいたい。