子どもの頃、友達やきょうだいが悪さをした際に「連帯責任!」と言われて罰せられ、理不尽な思いをした。そんな経験をした人もいるだろう。学生スポーツでも一部選手の不祥事でチーム全体が大会への出場を取りやめることがある
▼犯罪については、本人だけでなく周囲にも累が及ぶことが古くからあった。古代の律令(りつりょう)では、謀反など重大犯罪の場合に犯罪者の近親も処罰対象になった。官吏が業務上の罪を犯した際は、関連業務に従事していた人も連帯責任を問われた
▼前者を「縁坐(えんざ)」、後者を「連坐(れんざ)」と呼んだという。それぞれ「縁座」「連座」とも表記される。犯罪の抑止効果が期待されたらしい。一方、現代では法律に基づく懲罰については、個人の行為の責任は本人だけが負うべきだという考えが定着している
▼その例外が連座制だ。公選法で導入されている。候補者と一定の関係がある人が買収などの選挙違反で刑が確定した場合、候補者本人の関与がなくても責任を問える
▼自民党の裏金問題が浮上して以降、政治資金規正法にも導入を求める声が高まっている。収支報告書への不記載といった法令違反があっても、政治家本人の責任を問うには具体的な指示の立証など高いハードルがあるからだ
▼政治家と秘書の一体感は極めて強い。選挙に加え、カネの管理についても連座制を求める声が上がるのももっともだ。自民党内には難色を示す向きもあるようだが、導入を見送れば同僚議員も連帯責任を負うことになるのでは。