子育てに王道はない。手探りを繰り返す毎日が、やがてわが家の子育てになっていく。パパたちが歩んできた「パパの細道」をのぞかせてもらう対談企画。2ndシーズンのテーマは、妊娠中のママと歩む「プレパパ期」。今回はどんな細道が待っているだろうか。

横田 孝優
コピーライター。10歳(男)・7歳(男)・7歳(女)の3児のパパ。企業理念の開発やホームページの文章制作などを手がけるほか、新潟日報asshにて2024年1月まで子育てコラムを連載。 https://ztdn.net/

石橋 純さん
自治体の採用支援プラットフォームの運営、公務員からの転職サポートなどの事業を展開する企業でリクルーティングプロデューサーとして従事。これまで新潟市職員やキャリアアドバイザーなどを経験。2019年に長男、2023年に次男が誕生。

ママのストレス源を減らす

横田 奥さまが1人目のお子さんを妊娠したことが分かって、石橋さんの生活はどんなふうに変わっていきましたか?

石橋 こうしようと決めたわけではなく、自然と変化していきましたね。突然車を運転する状況になるかもしれないからお酒を飲まないようになり、飲み会も断るようになりました。家事も元々分担していましたが、洗っていないお皿を放置しないようにしたり、洗濯物を洗濯機に入れっぱなしにしないようにしたりしていました。だんだんと妻のメンタルが不安定になっていくのも感じたので、ストレス源をなるべく減らすように心掛けていました。

横田 「やってほしいこと・やらないでほしいこと」は奥さまと話し合いましたか?

石橋 初期は話したかもしれませんが、つわりが始まってからはその会話で気を使わせたくなかったので、「食べたいものある?」といったライトな質問だけをするようにしていましたね。周りの先輩パパたちへの情報収集もしていましたが、共通項として分かったのが、先ほども出た「目の前のストレス源を減らすこと」でした。

ふいに聞いてしまった泣き声

横田 自然とパパスイッチが入っていったんですね。

石橋 一番決定的だったのが、妻が泣いているのを聞いてしまったこと。妊娠が分かる前にお義母さんと台湾旅行を計画していたんです。チケットやホテルもすでに予約してありました。それから妊娠が分かり、飛行機での旅行が難しい時期と重なってしまったため、結局キャンセルすることになったんです。そんな頃に、洗面所で歯を磨いているとお風呂場から「うっ…うっ…」という妻の泣き声が聞こえてきました。それまで泣いているのを一度も見たことがなかったので驚きました。

横田 心配させないように、隠れて泣いていたんですかね。

石橋 「これはただごとじゃない」と思いました。その瞬間に、バチンっとスイッチが入った気がします。

男性育休を知らせる機会に

横田 育休は取ったんですか?

石橋 1カ月間取りました。当時は新潟市の職員だったのですが、人事交流という制度で新潟市役所から阿賀野市役所に派遣されていた時期です。当時、阿賀野市役所では長期間の育休実績があまりありませんでした。手続きの仕方を調べてもらったり、周りの方にもサポートしてもらったりして準備していきました。

横田 久しぶりの申請だったんですね。

石橋 派遣された身だったので正直気を使う部分もありました。ですが、そんな小さな自意識よりも妻や子どもの方が大事なので、取らないという選択肢はなかったですね。

横田 スムーズに進みましたか。

石橋 そうですね。むしろ私の育休をきっかけに、阿賀野市役所でも改めて男性育休の制度を知ってもらおうという風潮が出てきました。チラシを作って職員に配布したり、子どもが生まれた職員に「育休取らないの?」と声を掛けたり。

横田 改めて制度が周知されるきっかけになったんですね。それでは次に、子育て用に買って良かったものはありますか?

石橋 ブレンドミキサーを買いました。妻がずっと離乳食作りに使っていて便利だったようです。大人用のスープも作れますし。後は、鼻水吸引器ですね。

横田 前回も出ました(笑)。

石橋 今はいろいろなタイプの吸引器がありますよね。手動もあれば、乾電池で使うものもある。うちはコンセントにつなぐパワフルなタイプでした。ドルルルル…と、工事現場みたいな大きな音がします(笑)。

横田 子どもは鼻を詰まらせることが多いですもんね。

石橋 これがない家庭はどうしているんだろう、と疑問に思うくらい使っていました。

離乳食作りに重宝したというブレンドミキサー。普段の調理にも役立っているそうで、買ってよかったアイテムだそう。

赤ちゃんの雰囲気に合う名前

横田 名前はどのように決めましたか?

石橋 妊娠が分かった頃から考え始めていましたね。ある程度ルールを決めて、妻とお互いに名前案を出し合っていました。私も妻も名前が漢字一文字なので、子どもも一文字にしよう。一生で一番書く文字だから、画数もなるべく少ないほうが良いよね、とか。願いや意味よりも、実用性重視でした。たくさん出し合って、5個に絞り込んで、最終的には顔を見て決めることになりました。

横田 顔を見て意見は一致するんですか? 主観だからすれ違いそう。

石橋 一致しましたね。ふわっとした雰囲気の名前になったんですが、それ以外の候補はシュッとしたものばかりだったんです。でもよく考えると、赤ちゃんの顔ってシュッとしてないじゃないですか。

横田 なるほど(笑)。濁点とか、か行・た行が入っていると強い印象になるので、赤ちゃんの雰囲気とは合わないかもしれないですね。うちの1人目のときは、プレゼンを意識しました。思い付いた名前だけを伝えても、妻からはなかなかOKが出ないんです。このままだとゴールが見えないなと思って、こういう意味とこういう意味を込めた、こんなふうに呼ぶとかわいい、実はこんな魅力もある、と理論武装をして臨みました。

生まれたばかりの次男くんをいとおしそうに抱っこする長男くん。初めてできた弟を見つめる表情が何とも愛らしい。

後編に続きます