子育てに王道はない。手探りを繰り返す毎日が、やがてわが家の子育てになっていく。パパたちが歩んできた「パパの細道」をのぞかせてもらう対談企画。2ndシーズンのテーマは、妊娠中のママと歩む「プレパパ期」。今回はどんな細道が待っているだろうか。

横田 孝優
コピーライター。10歳(男)・7歳(男)・7歳(女)の3児のパパ。企業理念の開発やホームページの文章制作などを手がけるほか、新潟日報asshにて2024年1月まで子育てコラムを連載。 https://ztdn.net/

石橋 純さん
自治体の採用支援プラットフォームの運営、公務員からの転職サポートなどの事業を展開する企業でリクルーティングプロデューサーとして従事。これまで新潟市職員やキャリアアドバイザーなどを経験。2019年に長男、2023年に次男が誕生。
パパも産婦人科に行こう
横田 産婦人科への通院は付き添っていましたか?
石橋 1人目の時はほぼ100%付き添っていました。毎回エコーを一緒に見られるのも良いですし、待ち時間が長いので一緒にいることも大事だと感じました。その間に赤ちゃんの名前の話などもしましたね。
横田 私も付き添っていたんですが、病院や先生のことを知っているのはいざという時に役立つと思います。1人目のときは妻が切迫早産になって早朝に産婦人科に行き、その日の夕方に総合病院に救急搬送されて、帝王切開という流れでした。バタバタと状況が変わって、私自身も気が動転しまくるんですね。病院が全く知らない場所だったとすると、もっと混乱していたように思います。
石橋 確かにパパも病院のことを知っておいた方がいいですよね。安心感もありますし、ママと共通認識を持てます。少し話はそれますが、当時の勤務地だった阿賀野市役所は「父子手帳」を無料配布していました。私もそれを読んで、月齢ごとの大きさを知ったり、プレパパ期に気をつけることを学んだりしていました。

出典:阿賀野市
(https://www.city.agano.niigata.jp/soshiki/shakaifukushika/kosodate/bamen/1/1479.html)
阿賀野市が無料で配布しているパパ向けの子育てガイドブック「あがの父子手帳 PaPaパパぱぱん」。妊娠中のママのことや子育てについて、文章とイラストで分かりやすくまとめられている。
一生忘れない感覚
横田 出産の立ち会いはしたんですか?
石橋 1人目は立ち会いをしました。陣痛が始まったのは、予定日の1週間前の早朝。5時頃起きてリビングに行ったら、妻がソファで苦しそうにしていました。本人もまだ本陣痛か分からないようだったんですが、病院に電話したら「来てください」と言われて。産まれたのは、病院に到着してから3〜4時間後くらいでした。私はへその緒を切らせてもらいました。
横田 私は経験がないんですけど、へその緒を切るってどんな感覚なんですか。
石橋 けっこう硬くて、ブリンっとした感覚。一生忘れないですね。へその緒と言っても、人間の一部じゃないですか。ちょっと怖かったです。助産師さんが隣にいてくれて、あとは専用のはさみで力を入れるだけなんですけど、「いいんですか?いいんですか?」って何度も聞きながら。
横田 すごい…できる気がしない。
石橋 ママは自分自身では切れないから、パパだけができる作業ですよね。
もっと知識が広まれば
横田 石橋さんは昨年末に2人目のお子さんが産まれましたが、プレパパ期の過ごし方は1人目の時と変化はありましたか?
石橋 やっぱり上の子と二人になることが多かったですね。1人目の時はずっと妻と一緒にいようと心掛けていたんですが、2人目のときは妻を一人にしてあげるのも大事だなと思いました。妻もメンタルに波がある中で、落ちている時に私と一緒にいると、気を使う部分もあるみたいなんですよ。怒りたくないのに怒ってしまったとか。
横田 それは奥さまからリクエストされたんですか。
石橋 面と向かっては言われていないですね。いろいろやってみて自然とそうなった感じです。あとは、3人でいる時間を作るのも意識しました。温泉やテーマパークなど、たくさん旅行をしましたね。2人目が産まれると、どうしてもそっちに手がかかるのは分かっていたので、今はとにかく上の子を大事にしようと妻と決めていました。

2人目の妊娠が分かった後、長男くんと3人で過ごす時間を増やしたいと旅行をした時の記念撮影。長男くんも楽しんでいる様子が写真から伝わってくる。
横田 石橋さんはお仕事でコーチングもされているからかもしれませんが、奥さまのことをしっかり理解して丁寧に接しているのが素晴らしいなと思いました。上の子がいると、パパとしての使命が定まる感じもありますよね。まず、この子との生活を成り立たせる。
石橋 それはありますね。今でも長男と私は仲が良いですし、夜は一緒に寝ています。パパチームという感じになります。

お子さん2人に読み聞かせをする石橋さん。読み聞かせを楽しむ長男くんと絵本に興味津々の次男くん。
横田 石橋さんが考える、プレパパ期に最も大切なことは何でしょうか?
石橋 妊娠中、ママは心も体も不安定になります。パパはその分安定していたいですね。どっしり構えていたいし、知識や情報を得ておけばいざという時にあたふたしない。それと同時に、妻の波に合わせて自分も変えていける柔軟性も持っておきたい。一番頼れる存在がパパでありたいですよね。
横田 よく思うんですが、つわりの時期って、ママは心身ともにしんどいのに安定期はまだだから職場で言えなかったりするじゃないですか。それも大変ですよね。
石橋 妻はつわり中、食べてないと気持ち悪くなるんで、仕事中にずっとおにぎりや果物を口にしていたそうなんですよ。それを同僚がどう見ていたかは気にしていたみたいです。出産経験がある女性は何となく察してくれたようですが…。そういった知識がもっと広まってくれるといいですね。
(終わり)