韓国の新リーダーは未来志向の日韓関係を強調した。日本政府は新政権誕生を機に、冷え切った両国関係の改善に向け、積極的に取り組んでほしい。

 韓国大統領選で、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユンソンニョル)前検事総長が、革新系与党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)前京畿道知事を破り当選した。

 5年ぶりに保守政権へ交代することになる。尹氏の大統領就任は5月10日だ。

 得票率は尹氏が48・56%、李氏が47・83%で0・73ポイントと史上最も僅差の結果となった。

 社会を二分した異例の大接戦は、「分断」の根深さを物語る。新たに就任する大統領にとって、「国民の統合」が最優先課題となる。

 選挙戦は不動産高騰への対応や雇用政策など内政問題が主要争点となった。だが候補本人や家族に疑惑が相次いで発覚。相手候補への攻撃が中心となり、政策論争は深まらなかった。

 その中でキャスチングボートを握ったのが18歳~30代の若者世代だった。「公正な社会の実現」を掲げた文在寅(ムンジェイン)政権に言行不一致が続発し、期待を裏切られ、失望が広がっていた。尹氏は保守層に加え、若年男性を中心に浮動層の支持も集めた。

 大接戦を経て当選を決めた尹氏は「地域や陣営、階層に関係なく国民は一つだ。私は国民の統合を最優先にする」と決意表明した。指導者として当然だ。

 気掛かりなのは尹氏は政治経験がなく、手腕が未知数なことだ。「統合」に向けどう行動していくのか、注視したい。

 尹氏は当選を受けた記者会見で日韓関係について「未来志向的な韓日関係をつくる」と訴え、歴史問題を巡り「真相を究明し、一緒に考えていくことが必要だ」と語った。

 日韓両国は文政権発足後、元慰安婦や元徴用工問題で対立。「戦後最悪の関係」とまでいわれるほど冷え込んだ。

 選挙戦で尹氏は、日韓関係改善の意欲を表明していた。両国間の懸案については「包括的な解決」を掲げ、首脳が相互訪問するシャトル外交の復活も提案していた。

 日本政府にとって今回の政権交代は、韓国政府と正面から向き合い、関係改善に乗り出すまたとない好機だろう。

 岸田文雄首相は早速尹氏と電話会談を行い、関係改善のために協力していくことで一致した。両者は対面での会談の早期実施も申し合わせ、北朝鮮に対する連携も確認した。

 米国側は北朝鮮の核・ミサイル問題の対処には、日米韓の連携が不可欠との立場で、日韓対立解消を促してきた。関係改善は地域の安全保障にも資する。拉致問題解決のためにも不可欠だろう。

 本県にとって「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産推薦問題の今後も焦点だ。韓国側は戦時中に朝鮮半島出身者が強制労働をさせられたとして反対している。

 政権交代を機に、日本側の考え方や佐渡金山の価値を改めて訴えていかねばならない。