ウクレレというと、どこか南の島をイメージしてしまう。けれど、春風の季節に聞くのもまた格別ではないか。そんな思いがふと湧き上がったのは、この楽器のコンテストに参加しませんかという記事を本紙で見つけたからだ

▼すぐそばの事業案内の原稿にはチューリップの写真が添えてあった。脳内でウクレレと美しい花が重なり合い、たわいない連想が生まれたようだ。とはいえ、癒やし系の音色と春は相性が良さそうな気もする

▼くだんのコンテストの発起人は、阿賀野市出身でサザンオールスターズのベーシスト関口和之さん。ウクレレ奏者としても有名だ。本紙の取材に、ウクレレの魅力を語ってくれたことがある

▼低音を担当するベースは楽曲の下支えをする、縁の下の力持ちのような存在。これに対して「ウクレレの音は感情に近い感じ。何か鎮静作用のような、人の心に響く要素を持っているんじゃないかな」と話していた

▼ウクレレという名前の由来は諸説ある。一説には、人気の奏者が小柄だったため、観客が親しみを込めて、ハワイの言葉で「飛び跳ねるノミ」を意味する「ウクレレ」と呼んだことが始まりだという。そんな逸話からして、この楽器にお似合いの愛きょうがある

▼関口さんのウクレレのアルバムを聴いてみた。落ち込んだ時も隣にいて、とりとめのないおしゃべりで慰めてくれるような、そんな音だと感じた。春風に乗って、この楽器の軽やかなメロディーが流れてきたなら…。うん、やっぱり格別だ。

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