平和を一日も早く取り戻したい。多くの人が選手たちの熱戦を見守りながら、そう感じたのではないか。

 冬季パラリンピック北京大会は13日、閉会式が行われ、障害者スポーツの冬の祭典が10日間の幕を閉じた。ロシアのウクライナ侵攻が日増しに激しくなる中での異例の大会となった。

 パラリンピックは、違いを認め合う「多様性」や「共生」を理念としている。五輪同様「平和の祭典」と称される。

 だが、大会期間中も戦火はやまず、罪もない多くのウクライナ国民が苦難を強いられた。

 反戦の訴えをさらに広げ、ロシアへの圧力を強めていかなければならない。

 国際パラリンピック委員会(IPC)は、開幕前日にロシアと、侵攻を支援するベラルーシの出場除外を決定した。

 閉会式では、ウクライナ選手が硬い表情を崩さず行進した。

 今大会は戦争の影が色濃いものとなった。

 自宅を爆撃で破壊されたというウクライナのバイアスロン男子視覚障害の選手は、母国の選手で表彰台を独占しても「100パーセントは喜べない。国が重大な危機にある今、私が望むのは平和だから」と訴えた。

 父親がロシア側の捕虜となったため、「出場できる精神状態ではなくなった」と試合を棄権した選手もいた。

 そうした中で、ウクライナは同国史上最多の29個のメダルを獲得した。選手の一人は「私たちは国のために勝利しないといけなかった。ウクライナ人はこの戦争に勝たないといけない」と強調した。

 選手たちは苦しみの中で強い精神力を発揮したといえるが、残るのはやりきれなさだ。

 ロシアの侵攻を受け、パラアスリートを含むロシアとベラルーシの選手は多くの国際大会で出場が認められなくなった。一日も早く停戦となり、競技に復帰できる日が来るのを願う。

 開催国中国の対応には強い疑問が残った。

 国営中央テレビは、IPCのパーソンズ会長が開会式のあいさつで「ピース!(平和を)」と異例の訴えをしたのを中国語に同時通訳せずに放送した。

 習近平指導部は、国内でのロシア批判や反戦の言論を統制し、大会の「成功」を強調するばかりだった。

 平和の理念をないがしろにし、ロシアの暴挙を黙認する姿勢は見過ごすわけにはいかない。中国は国際社会と協調し停戦を強く働き掛けるべきだ。

 日本は今大会、1998年長野大会に次ぐ金メダル4個を獲得し、メダルは合計7個となった。そのうち選手団主将の村岡桃佳選手は金3個を奪い、実力を発揮した。

 県勢では、5大会連続出場の出来島桃子選手(新発田市役所)が最終日、スキー距離男女混合10キロリレーで健闘し、日本は7位だった。

 4年後は出来島選手に続く新鋭が多く登場し、活躍を見せてくれるのを期待したい。