ロシアによるウクライナ侵攻は戦線拡大が止まらず、民間人の犠牲者が増え続けている。

 中国はロシアの友好国であり、国連安全保障理事会の常任理事国として世界の安定に責任を持つ立場だ。停戦に向け、その役割を果たしてほしい。

 中国の国会に相当し、年1回開催される全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。

 習近平国家主席(共産党総書記)の3期目続投を前提にしたかのような発言が相次ぎ、長期支配に向け形式的な色合いが強まった印象が残る。

 李克強首相を含む指導部メンバーの大多数が習氏に忠誠を誓った。習氏への異論を許さない内向きな空気が強まらないか懸念される。

 さらに気になったのは、ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、中国指導部が停戦に向けて積極的に仲介しようという姿勢が見えなかったことだ。

 李首相は記者会見でウクライナの平和に向け「積極的な役割を発揮したい」と訴えた。

 「憂慮と痛惜の思いを深く感じる」とも述べたが、ロシアへの制裁は世界経済の回復に打撃を与え、各国に不利だとして反対の立場を示した。

 ロシアの立場に理解を示すような発言も目立ち、「安全保障に関する各国の合理的な懸念も重視されるべきだ」と強調。北大西洋条約機構(NATO)拡大に反対するロシアの主張に同調した。

 ただ、国家主権と領土は尊重するべきだとも述べ、ウクライナに配慮する姿勢もみせた。

 和平への本気度に疑問を覚えるばかりだ。先に、中国外相が「必要な時に国際社会と必要な仲裁を行いたい」と述べ、対話で問題解決すべきだと訴えていたが、あれは何だったのか。

 背景には、米国に対抗するためロシアとの連携は欠かせないとの事情があるだろう。

 だが、多くの市民が犠牲になる中で、悠長な態度を続けている時間はないはずだ。

 看過できないのは、中国がロシアに軍事支援の意思を伝えたとされることだ。そうした内容を米国が欧州やアジアの同盟国に伝えたと報じられた。

 サリバン米大統領補佐官は、ローマで14日に会談した中国外交トップの楊潔篪(ようけつち)共産党政治局員に、中国のロシア支援について懸念を伝えた。

 約7時間にわたった会談で、米側はロシアと連携を深める中国が、侵攻に力を貸すような軍事支援をすれば「重大な結果を招く」と警告した。

 楊氏は「事実に基づかない情報を流すことに反対する」とし、ロシアの主張も聞くべきだとの立場を示したが、中国は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

 中国が統一へ圧力を強める台湾では、ロシアの侵攻に抗議する集会で「今日のロシアは、明日の中国」と警戒する声も上がっている。集会には弾圧されている香港の人たちも参加した。

 中国がロシア寄りのような対応を続けていては、国際社会の懸念は深まるばかりだろう。