〈教卓の牛乳瓶のチューリップ〉竹内英夫。牛乳瓶を花瓶代わりに美しい花を飾っているのだろうか。しゃれた花瓶ではなく牛乳瓶であるところが素朴で、どこか懐かしい教室の風景が浮かんでくる
▼先の句では存在感のある脇役、牛乳瓶がどんどん減っているという。森永乳業は3月末で瓶入り牛乳の販売を終えた。学校給食で欠かせない牛乳も、すでに8割以上が紙パックになっている
▼再利用できる牛乳瓶だが、回収や洗浄などに手間がかかる。それが減少の理由らしい。牛乳はガラス瓶に入れ配達するべし-。1900年4月7日、衛生管理のため、内務省は牛乳営業取締規則を制定した。このガラス瓶と牛乳のなれそめから、世紀を経ての転換期である
▼筆者は給食での脱脂粉乳の味を知る最後の世代だ。小学生時代、三角パックを経て瓶入りに変わったと記憶する。瓶入り牛乳の一番の思い出は厚紙の丸いふた。それを何十枚も集めて遊ぶ
▼ふたを同数出し合い「パッ」と声を発して、風圧でひっくり返す。最後の一枚を返した方が総取りだ。教室の床にはいつくばり、目を光らせてふたを囲んだ。ふた遊びは全国に多様なルールがあったようだ
▼新潟市の給食の標準献立表を見る。4月は新ジャガイモやタケノコ汁に加え、人気のカレーもある。瓶入りは減ったが牛乳は定番だ。メニューによっては合わないとの声もあろうが、栄養豊富な牛乳はやっぱり大切な存在だろう。入学シーズン、楽しい給食の時間を過ごせますように。