【2022/03/17】

 「新潟県を中心として、国の内外に交流の輪を広げていくことが21世紀に向けた本県の課題であります」

 1989年6月、金子清(89)は県議会の就任所信表明の冒頭、こう述べた。2カ月前に急逝した君健男から知事を継いだ金子は、国際化を進める強い意欲を示した。

 その5カ月後にベルリンの壁が崩れ、冷戦が終わりを告げる。対岸に広がる共産圏の国々に県民の視線が注がれ始めていた。「環日本海時代」の匂いを金子は、嗅ぎ取っていた。

 ソ連(ロシア)極東、中国東北地方、韓国、北朝鮮を射程に入れた環日本海。一大経済圏構築を夢見た金子は91年、県のプロジェクトにシンクタンク創設を盛り込んだ。

 冷戦...

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