「ナイトライダー」は1980年代の米国のテレビドラマだ。人工知能(AI)を搭載して人間と会話するスーパーカーを駆る主人公が難事件を解決する。日本でも放映され、人気を集めた

▼AIはさまざまな場面で主人公を助け、相棒のような存在だ。話しぶりは真面目だがユーモアが飛び出すことも。「こんな車があったなら」。ドラマを見た多くの人がそう思ったことだろう

▼そんな夢が現実になりはしないか。米マイクロソフトが、インターネットにつながなくても生成AIの機能を簡単に使える新型パソコンを発表した。このニュースに触れて、そんな思いが頭をもたげた

▼生成AIのサービスはネットを経由することが多いが、パソコン単独で使えるなら、ネットがつながりにくい場所も走る自動車にも搭載したくなる。高性能AIを自動運転と組み合わせれば、まさに相棒と呼べそうだ。移動の手段だけでなく、相談相手や友達のような存在にもなり得る

▼そのためにはAIが偽情報などを発することなく、誠実に機能を果たすことが不可欠だ。そうした環境をつくらねばならない。欧州連合(EU)では、世界初の包括的なAI規制法が成立した。EUはAI規制で世界をリードしており、法律は各国に影響を与えそうだ

▼「ナイトライダー」に登場するAIは人間味のある会話もするが、基本的には実直で主人公には忠実である。さて現実はどうなるだろう。偽情報をもたらすようなら相棒にはできない。そうでない未来を。

朗読日報抄とは?