世界に戦火が絶えないからだろうか。戦争にまつわる言葉だと思っていた。「戦々恐々」という四字熟語だ。もともとは「戦戦競競」と書いた。戦戦は「ふるえおののく」意味と辞書にある。競競は「恐れて戒め慎むさま」という

▼戦々恐々にせよ戦戦競競にせよ、多くの人が不安に思っているのは、この夏の暑さではないか。気象庁が発表した3カ月予報では6~8月の平均気温は総じて高いとみられている。6月前半の県内は低温の傾向というが、8月は全国的に暑さが厳しくなる見通しだ

▼条件次第では、観測史上最も暑かった昨年に匹敵する「災害級の暑さ」となる可能性があるという。屋外にいると押しつぶされそうな圧迫感を伴う暑さを感じた、昨夏を思い出す。あの酷暑が再び到来するのかと思うと、気が遠くなる

▼そこに追い打ちをかけるように電気料金が過去最高を更新する見通しだ。国の補助金が7月請求から廃止される。本県を含む東北電力管内では、標準的な使用量で前年同月と比べ17・5%上昇する

▼健康を損なわないために冷房の適切な使用は不可欠だ。とはいえ電気料金の請求額を想像すると空恐ろしくなる。無理な節電をして体調を崩す人が出ないか心配にもなる。夏の到来におののいてしまう

▼きのうの朝はスマートフォンから、あの嫌な音が響いた。ほどなく体が揺さぶられるのを感じた。能登半島地震から5カ月がたったが、まだまだ警戒が怠れないらしい。こちらもやはり戦々恐々であり戦戦競競だ。

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