4325京2003兆2744億8985万6千通り。何を意味する数字かお分かりだろうか。六面立体パズル「ルービックキューブ」の配列パターンだ。パズルに挑む者は、気が遠くなるほど複雑な配列の中から正解を探す
▼ハンガリーの発明家で建築学の研究者でもあったエルノー・ルービックが考案した。立方体の各面が3×3の9マスで構成される。6色あるマスを動かし、全ての面を同じ色にそろえれば完成だ
▼日本では1980年に発売され、大ブームになった。当時挑戦したが、まるでできなかったことを覚えている。友達に攻略法を教えてもらうなどして試したが、1面を整えるのが精いっぱいだった
▼世界中で親しまれ、今も根強い人気がある。数学の研究対象にもなっており、2010年には、どんな局面からでも20手以内に完成させられることが証明された。達人になると、わずか数秒で完成させてしまうというから驚きだ
▼だがロボットはさらに上を行く。三菱電機のロボットがギネス世界記録に認定された。そのタイムはなんと0・305秒。動画を見たが、まばたきを我慢しても肉眼では何が起きているか分からない。人工知能(AI)が手順を解析し、高精度のモーターが超高速で作業しているという
▼考案者のルービックは著書で、このパズルは完成しても、もう一度解かなければならない衝動に駆られると書いた。「終わりが、新しい始まりになるのだ」。ロボットの快挙も「新しい始まり」かもしれない。