閉店した大和新潟店の「レストランダイワ」に展示されていた食品サンプルの数々。新潟市歴史博物館に収蔵されている(写真部・大須賀悠撮影)

 オムレツにエビフライ、いちごパフェにクリームソーダ...。どれもおいしそうで、見ただけでおなかがすきそうだが、実は偽物。写真の料理は全て、食品サンプルだ。

 幼い頃、両親に連れられて訪れたデパートのショーウインドーをのぞき込むと、食べられないけれども食べたい、そんな不思議で魅惑的な料理に心を躍らせた。店頭に並ぶサンプルに食欲をそそられ、思わず店に入った経験のある人は多いのではないだろうか。

 食品サンプルは日本発祥の文化で、大正か昭和初期に誕生したとされる。サンプル製造大手で新潟県内にも工場があるイワサキ・ビーアイ(東京)によると、普及の始まりは洋食や外食が一般に広まり始めた昭和初期だという。

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