わが中学生時代を思い返してみる。運動部の活動に明け暮れていた。40年ほど前である。放課後はもとより、土日も練習だった。大会や練習試合をこなし、休みは月に1日だけ。当然ながら顧問の先生もそうだった

▼先日の紙面に隔世の感を覚えた。全国中学校体育大会(全中)が規模縮小され、2027年度から水泳や体操など実施19競技のうち、9競技を取りやめると報じていた。少子化対応や教員の負担軽減のためという。やむを得ないのかと思いながらも、やはり寂しい

▼中学生のスポーツを取り巻く環境は大きく変わろうとしている。部活動の地域移行である。中学教員が指導を担う部活動を、地域スポーツクラブや民間事業者に委託する取り組みだ。スポーツ庁が昨年実施した調査では、自治体の7割が推進に向けた協議会を設置、または設置予定と回答した

▼昨年度からは地域スポーツクラブが全中に参加できるようになった。地域移行に対しては会費などの費用や送り迎えの負担が大きくなる懸念もある一方、経費の補助に乗り出す自治体も増えている。他県では、乗り合いタクシーを送迎に活用しようという試みもあるようだ

▼部活動は学校教育の一環として発展してきた。地域移行によって多彩な受け皿ができるといい。スポーツに親しむのが目的の子もいれば、本格的に競技に取り組みたいという子もいる

▼楽しむことがスポーツの本質のはずだ。それぞれの個性に合った楽しみ方を見つけられる場をつくっていきたい。

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