蒸し暑い日が続くと、ぐったりして食事作りも面倒になる。そんな時に家で作る料理といえば、そうめんがまず挙がりそうだ
▼カップ麺も冷凍食品もなかった時代、最高の時短、即席料理でなかったか。ツルツルと喉越しがよく、冷やせば清涼感は満点だ。値段も手ごろとくれば真夏の庶民の味方である
▼冷や麦やうどんと、どこが違うのか。基本の原料は小麦粉と塩、油などで同じだが、大きな違いは太さ。細い順にそうめん、冷や麦、うどんとなる。日本農林規格(JAS)は、機械製法の乾麺の場合、そうめんが長径1・3ミリ未満、冷や麦は1・7ミリ未満、うどんは1・7ミリ以上などと定めている
▼そうめんの魅力の一つは、調理の手軽さだ。ゆでて冷やし、つゆと薬味で食が進む。熱中症予防にもいい。大手のレシピサイトをのぞくと、焼いたり炒めたり、サラダにしたりで、調理例が3万品近くある。変幻自在の底力に驚かされる
▼きょう7月7日は七夕だが「そうめんの日」でもあるという。全国乾麺協同組合連合会が1982年に定めた。宮中で七夕にそうめんが供えられた故事にちなんだ。江戸時代になると将軍家の行事食にもなった。無病息災の願いも重なり一般に浸透したようだ
▼本県ではあまりなじみがないような気もするが、中国の星祭りや日本の収穫祭の伝統も引き継ぐ夏の節句である。七夕飾りの短冊に願いを込めて、そうめんをすするのもいい。運よく天の川が拝めたら、おなかも心も、さぞ満ち足りるだろう。