敷地全体が盛り上がり、段差となった隆起の被害を語る男性=6月、石川県珠洲市
敷地全体が盛り上がり、段差となった隆起の被害を語る男性=6月、石川県珠洲市

 能登半島先端に位置する石川県珠洲市。市役所から車で20分ほどの中山間地にある若山町は、日本海に注ぐ若山川を中心に田んぼが広がる。能登半島地震後、一帯の田んぼに大規模な隆起が発生し、2024年は作付けできなかった。地下の地層が波のようにうねった「褶曲(しゅうきょく)」構造が一因となった可能性がある。褶曲は新潟県にも多くあり、専門家は「場所によっては新潟でも同じようなことは起きうる」と指摘している。(本社取材班・奥村直之、写真は金子悟)

 「家が丸ごと盛り上がったんだから」。男性(81)は、自宅から見下ろせる田んぼに目を向けた。

 田んぼには一本の太い筋が走り、幅数メートルの若山川をまたいで男性の敷...

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