「1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降る恐れがあります」。テレビの気象情報で、こんな言葉を聞く機会が増えた。肌感覚でも大雨が増えている。裏付けるデータが先日の紙面に載っていた
▼県内で50ミリ以上の雨を観測した回数は、昨年までの20年間で計85回。それ以前の20年間の42回に比べ倍増していた。やっぱり…と納得すると同時に身構える。年によってばらつきはあるようだが、豪雨が頻繁に起こる傾向は今後も続くのかもしれない
▼1時間に50ミリの雨が降ると、1平方メートルに降る量は50リットルになる。気象庁によると、傘を広げた際の面積がおおむね1平方メートルなので、1時間傘をさしたとすると、1リットルの牛乳パック50本分の雨が当たることになる
▼50ミリを超えると滝のような降り方になり、傘はまったく役に立たず、あっという間にずぶぬれになる。視界が遮られるなどして車の運転は危険になる。水しぶきで、辺り一面が白っぽくなるという
▼そういう状況を指すようだ。「白い雨が降ると蛇(じゃ)抜けが起こる」。長野県南木曽町にはこんな言い伝えがあると聞く。「蛇抜け」とは山崩れや土石流を指す。50ミリ以上の雨が降ると土砂災害や洪水の恐れが強まる。先人も肌感覚で知っていたのだろう
▼本県を含む北陸の梅雨明けの平年値は23日ごろ。梅雨末期には豪雨に見舞われることがある。ここしばらくは警戒が怠れない。雨の降り方や行政が発する情報に耳をそばだてたい。「白い雨」は災害が起こる兆し-。覚えておいて損はない。