〈まだかなぁ あと一か月 夏休み〉。2年前の8月、小学6年生のこんな川柳が本紙ジュニア文芸に載った。当時は新型ウイルスの感染が第7波を迎えていた
▼大人も子どもも汗だくのマスク顔。外出しても周りとの距離を気にしていた。夏休みは始まったばかりなのに、満足に外遊びができない。早く休みが終わり、学校で友だちと会いたいな。そんなつぶやきが聞こえる一句だ
▼プールや虫捕り、お盆に花火…。一生の宝ものになる思い出ができるのが夏休み。でも、それが当たり前などと思わないで-。そう思い知らされる調査があった
▼認定NPO法人「キッズドア」の調べで、小中学生のいる困窮家庭の6割が夏休みは「短い方が良い」「なくて良い」と答えた。調査対象は約1400世帯で大半が母子世帯だった。主な理由は物価高騰による生活苦である
▼寄せられた声は切実だ。「長期休みは給食がないので恐怖」「家族旅行に行った友だちをうらやましそうにしている」。旅行をはじめ、夏休みならではの体験を巡る格差も広がっているらしい。こうした格差が成長に影響する可能性も指摘されている
▼この夏は新型ウイルスの流行が第11波を迎えたとされ、手足口病の感染も増えている。猛暑による熱中症の恐れも高まる。子どもの健康を心配する保護者も多いだろう。一方で、困窮世帯の夏休みを支援しようという輪も広 がっている。「まだかなぁ」。夏 休み明けを待つ保護者や子どもに少しでも笑顔が増えますように。