
戦後73年。いまだ癒えぬ戦争の傷跡がある。皮をはがされV字型に付けられた切れ目。新潟市西区の寺尾中央公園や坂井輪地区公民館にある松には、戦時中、燃料不足を補うために松やにを採取した痕跡が残る。
太平洋戦争末期、石油輸送を絶たれた日本は、航空燃料用に松の根から精製した松根油の増産や松やに採取を国民に促した。本県では地主が土地を提供するなどし、各地で採取された。
松根油は掘り起こした松の根をチップ状に刻み、蒸し焼きにして抽出した。松やには、幹にV字の切れ目を入れ、竹筒などをぶら下げて採った。
松やに採取には女性や子どもがかり出された。新潟市西区の小野耐介さん(82)は小学生の頃、出身地の佐渡で松...
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