「明訓」発足の地であり、明治末期の弥彦大火を逃れ、移築された旧鈴木家住宅。現在は「喫茶 ギャラリー余韻」(冬季休館中。4月6日から土、日、祝日に開館)として活用されている=弥彦村弥彦

 弥彦神社(弥彦村)へ続く細い小路に、ひっそりたたずむ古民家がある。神職の家系が暮らした旧鈴木家住宅。明治末期の弥彦大火を逃れた数少ない建物で、現在の新潟明訓中学・高校(新潟市江南区)の由来となった私塾「明訓校」が発足した場所でもあった。大火後に移築された建物は国の登録有形文化財となり、ギャラリーや喫茶スペースとして訪問者をもてなしている。

 鈴木家住宅は江戸後期の1802年、神職の鈴木嘉内邸として現在の弥彦神社鳥居周辺に建てられた。みそ蔵やしょうゆ蔵を備えた広く格式ある建物で、78(明治11)年、明治天皇が弥彦を訪れた際には、右大臣岩倉具視らが宿泊した。

 その頃、教育振興の機運が高まり、幕末の...

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