完成当時の姿をとどめる蔵々発電所の水門。排砂門(はいしゃもん)と呼ばれる設備で、石積みの色合いが年月を感じさせた=妙高市大谷(東北電力の許可を得て撮影)

 1907(明治40)年5月3日、高田町(現上越市)や新井町(現妙高市)などに電気の明かりが初めてともった。その光を生み出した発電所は、今も変わらない場所で運転を続けている。現存する県内最古の発電所、妙高市の山麓にある蔵々(ぞうぞう)発電所だ。

 水力発電の蔵々発電所は関川のほとりに立つ。上流部から中流部で特に標高差が大きい関川は、水の落下エネルギーを使う水力発電の適地だった。

 蔵々発電所を建設した上越電気や後継会社の越後電気、その後の中央電気は、当時の国内最高水準の設備を誇った鳥坂(とっさか)発電所など、大正から昭和にかけても次々と発電所を建てた。

 上越地域の近代史に詳しい西山耕一さん(69)...

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