
ビルやマンションが並ぶ新潟市中央区の信濃川河口近くには、明治末期に建てられた木造の長屋が点在している。新潟が港町として発展する中、各地から集まった労働者らが暮らした場所だ。現在でも狭い路地に沿って立つ長屋。その姿は本県が人口日本一を誇った当時の面影を感じさせる。
信濃川左岸、通称「下町(しもまち)」地区周辺は旧新潟町で、江戸時代から北前船の寄港地として、人やモノの流れが盛んだった。
物資を運ぶための堀が張り巡らされ、堀に沿って商店などが並んだ。宅地開発や工場建設も進み、全国から労働者が集まった。1893(明治26)年に本県の人口は170万人を超え、日本一となった。主に日雇いや行商など収入が安...
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