せいろを作る足立照久さん。曲げ輪の両端を細かく削り、とじ合わせた時に隙間ができるのを防ぐ=長岡市寺泊山田の足立茂久商店

 薄い木の板を曲げて1周させた「曲げ輪」の両端を削り、とじ合わせて円柱形にする。桜の樹皮で留めて仕上げる。円柱の底面に網を張るとふるいや裏ごしになる。職人の手仕事で、伝統工芸品としての「曲げ物」が形作られていく。

 粉や粒を選別するふるい、食材を滑らかにする裏ごし、餅米などをふかすせいろ。曲げ物は生活に密着した身近な道具だった。

 長岡市の無形文化財、寺泊山田の曲げ物は現在、足立茂久商店だけが製造する。職人は11代目の足立照久さん(45)。ヒノキの曲げ輪は奈良県から取り寄せ、新品を作るだけでなく網の張り替えもする。

 寺泊山田は日本海と丘陵地に挟まれた海岸沿いの集落。寺泊町史によると、北国街道の宿場...

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