三面川をさかのぼり、「ほり」と呼ばれるくぼみで産卵するサケ。三面川鮭産漁業協同組合の許可を得てカメラを沈めると、母なる川で命をつなぐ姿が見えた=10月20日、村上市羽下ケ渕

 村上市の三面川で今、サケ漁が最盛期だ。村上でサケは古くから凶作の際などの貴重な食料や収入源として暮らしを支えてきた。サケへの感謝から多様な食べ方が生まれ、独特の食文化が育まれた。漁の収益は教育にも充てられ、有為な人材輩出にも寄与した。

 村上のサケの歴史は古く、平安時代に朝廷に献上された記録も残る。江戸時代にはサケ漁に運上金が課せられ、旧村上藩の収入源となっていた。

 江戸時代中頃、乱獲で漁獲量が落ち込むと、藩の下級武士だった青砥武平治(あおと・ぶへいじ)は、サケが生まれた川に帰る習性を生かした政策「種川の制」を考案した。

 川に「種川」と呼ばれる分流をつくり、柵で囲い込んだ場所で産卵させる。春に...

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