「イモ穴」の内部。壁や天井は、ざらざらした質感の岩だ。広さは場所によって異なるが、外気を防ぎ、室温が一定になるよう保たれている。秋になると、収穫したサツマイモを米袋いっぱいに詰めて貯蔵する=佐渡市琴浦

 海風は身を切るようだが、岩をくりぬいた「室(むろ)」の中は、いくらか暖かい。佐渡市南端の小木半島にある琴浦集落では冬場、住民が「イモ穴」などと呼ぶこの場所に野菜類を貯蔵する。

 イモ穴の内部の高さは2メートル未満で、畳1、2畳から6畳ほどの広さの場所もある。温度は13~15度を保つようにしており、湿度も高い。寒さに弱く、気温10度を下回ると傷みやすくなり腐ってしまうサツマイモも、ここなら3~4カ月の長期保存が可能だ。

 集落では今も、収穫したサツマイモを保管した後、土産物などに加工して島内外で販売している。こうした暮らしぶりがなぜ見られるのか-。それは大地の成り立ちと関わりが深い。

 小木半島は海...

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