雪国の本県では、待ちわびた季節というと春を思い浮かべる人が多いだろう。けれども、幼い頃は夏の到来も待ち遠しかった。夏は思う存分、遊べる季節だった
▼学校が夏休みに入るタイミングは往々にして梅雨明けと重なった。宿題を放り出して学校のプールに通いつめた。川では網を片手に魚を追いかけた。近所の林でヤブ蚊に刺されながらカブトムシやクワガタを探し回った
▼そんな毎日を過ごすことができたのは、真夏であっても今より涼しかったからだろう。昨年8月の新潟市中央区の平均気温は30・6度にもなった。その10年前の2013年は26・9度だったから、異様な暑さだった。近頃は、酷暑の日は熱中症の危険があるとしてプールの使用を中止するケースもある
▼本県を含む北陸に、ようやく梅雨明けの知らせが届いた。平年よりも1週間以上遅れたが、待ちわびた人はもう少数派かもしれない。熱中症警戒アラートが出るような日は外出もできるだけ控えねばならない。外で遊ぶことも止められるはずだ。しょんぼりしている子もいるだろうか
▼勉強に打ち込む子もいるだろうし、ゲームがあれば家にいても苦ではない子もいるだろう。でも、頭の中を空っぽにして太陽の下を駆け回った体験は忘れられない。水しぶき、草の匂い、公園の蛇口から飲んだ水…大切な思い出だ
▼一足先に梅雨明けした地域からは酷暑の知らせが続々と届く。子どもに外遊びをさせてあげられないという意味でも、まさしく酷な暑さである。