知識を活用し、自らの考えを表現する課題解決型の力が依然として十分ではないことが示された。

 短期間では獲得しにくい能力だ。特効薬はないが、子どもの知りたい気持ちを大事にした地道な学習活動に力を入れたい。

 文部科学省が、小学6年と中学3年の全員を対象に4月に実施した2024年度の全国学力テストの結果を公表した。全国平均正答率(国公私立)は中3が国語58・4%、数学53・0%、小6は国語67・8%、算数63・6%だった。

 中学国語は前年度より11・7ポイント下がった。出題形式別では、中3の国語と数学、小6の算数で記述式の正答率が最も低かった。

 本県全体の平均正答率は国語が小6、中3とも全国平均をわずかに下回り、算数・数学は2ポイント程度下回った。新潟市は小6、中3とも国語が全国平均並みで、算数・数学は全国平均より低かった。

 県全体、新潟市とも、国語は文章の要約で、算数・数学では基本的な計算能力や数学的思考力を問う設問で正答率が伸び悩んだ。

 現行の学習指導要領は、課題を自ら見つけ解決する能力の育成を掲げている。国語は自らの思いや考えを書き表す力、算数・数学では式などを使い思考過程を表現する力の育成に重点を置いてきた。

 こうした力の伸び悩みは学力テストのたびに指摘されてきた。

 情報があふれる現代社会では、情報を伝える相手や目的に合わせて要約する力が欠かせない。情報を読み解く力を高める授業や、学習の習慣づくりが大事だ。

 課題解決型の能力向上へ、学校では子ども同士の議論などを重視する「アクティブラーニング」が広がりつつある。

 ただ、この能力はじわじわと身に付くもので、発揮されるのは義務教育を離れた後になる可能性もある。結果を急ぐことなく、腰を据えて取り組む必要がある。学校現場や地域、家庭が連携し、伸び伸びとした教育環境を整えたい。

 成績を上げるために過去問をさせる学校もあるが、点数に一喜一憂し、過度な競争をあおるようでは本末転倒だ。学力テストの限界を指摘する声もある。在り方を見直すことも検討されるべきだ。

 気になるのは、学力テストに伴うアンケートで、小6の2割以上、中3の3割以上がスマートフォンでの動画視聴や交流サイト(SNS)の閲覧に1日3時間以上費やしていると分かったことだ。

 前回22年度調査より割合が増え、利用時間が長いほど正答率の低下傾向がみられた。

 スマホの長時間使用は、寝不足による集中力低下も招きがちだ。使い方を改めて学び合いたい。

 新聞を読む頻度が下がるにつれて正答率が低くなる傾向も明らかになった。子どもの活字離れを防ぐために、日々の学習でも積極的に新聞を活用してもらいたい。