先日、新潟市中央区の新潟柳都中学校で防災士が講師となり、災害時を想定した授業があった。校区は信濃川の河口に近く津波も心配な地域だ。生徒たちは応急担架を作ったり、段ボールベッドを組み立てたり。「初めてだったけど、意外と簡単だった」と頼もしい声が上がった
▼高齢者が多い地域でもあり、昼間、地域にいる中学生は避難所運営を助けることが期待される。指導した防災士は「今度は君たちが地域の人たちに教えるんだよ」と声をかけていた
▼阪神・淡路大震災の教訓も踏まえ、民間資格である防災士の制度ができたのは2002年のこと。県内ではこれまで6500人近くが取得し、地域防災力の底上げに貢献してきた。ただ取得者の9割弱は男性と、偏りがある
▼女性も積極的に防災に取り組もうと活動する「NBJ新潟市防災士の会女性部会」は先月、西蒲区で開かれたイベントの企画を任された。メンバーは来場者に災害時の調理法やポンチョの作り方を伝えた。こうした経験を積み重ね、地域の防災力を高めていきたいという
▼過去の災害では、避難所に女性用の肌着が他の物資と同じように並べられたり、授乳スペースがなかったりした。イベントの来場者からも、生理用品の配布などで女性に配慮した取り組みが必要だという声があった
▼NBJ代表の高橋伸絵さんは「防災訓練や避難所運営に当たっては女性の存在が大切」と強調する。この夏も各地で災害が相次ぐ。多様な視点は備えを深める一歩になる。