戦火から逃れて日本へ到着した人々が一日も早く落ち着きを取り戻せるようにしっかりと支援し、安心できる環境を整えたい。

 ロシアの侵攻を受けたウクライナからの避難民20人が5日、日本の政府専用機の予備機でポーランドから羽田空港に着いた。

 在ポーランド日本大使館などに日本行きの希望を伝えた避難民のうち、自力で渡航手段を確保できないとした人たちだ。中には幼い子どもも含まれている。

 日本が専用機まで使って避難民を受け入れるのは極めて異例だ。問題に取り組む姿勢を国内外に印象付ける狙いもあるとみていい。

 現地にはほかにも、一刻も早い避難を望む人がいるに違いない。政府は一時的な対応で終わらせず、希望者が安全に渡航できるよう力を尽くしてもらいたい。

 避難民はウクライナから着の身着のままで逃れてきた人ばかりだ。手厚いサポートは欠かせない。

 政府は生活費や医療費、通訳や日本語教育も提供して支援し、身元引受人がいない人には地方自治体や企業などの支援を受けて滞在してもらうという。

 入国時の在留資格は90日の「短期滞在」だが、希望により就労が可能な1年の「特定活動」に変更することも認める。

 ただ停戦交渉は思うように進まず、情勢の先行きは見通せない。各地で都市が壊滅的な被害を受けており、日本での滞在が長期化することも考えられる。

 ウクライナの国外避難民は侵攻から数週間で400万人を突破した。避難民は第2次大戦後、最速のペースで増加している。状況は極めて深刻だ。

 戦況によっては今後さらに避難民が増える懸念がある。

 心強いのは、日本国内の自治体や企業が相次いで避難民の受け入れを表明していることだ。

 本県では小千谷市や新発田市が受け入れ方針を決めている。県も県営住宅の提供など独自支援策を検討するとしている。

 本県は東日本大震災の被災者支援などの実績がある。そうした経験を生かし、国や人種、言葉の違いに戸惑うことが多い避難民に寄り添う支援を心掛けたい。

 政府はこの1カ月、自力で日本へ来た400人を超えるウクライナ避難民の入国を認めた。世論の後押しが大きかったに違いない。

 避難民と、条約に基づく難民では位置付けが違うものの、世界ではシリアやミャンマーなどで数百万人の人々が紛争や迫害により自国外へ逃れ、難民となっている。

 しかし日本で難民認定される人は年間50人以下、認定率は約1%に過ぎない。消極的な受け入れ姿勢に国内外の批判は強い。

 平和的な国際貢献に向けて日本はどうあるべきか。政府は保護制度の在り方について議論を深め、見直しを進めてほしい。