パリ・パラリンピックが開幕し、12日間の熱戦が展開される。上越市出身で、視覚障害が最も重いクラスの競泳に出場する石浦智美選手らが最高峰の舞台に臨む
▼当初のパラリンピックは車いすの人が対象で、その呼称は「両側まひ」を意味する英語「パラプレジア」とオリンピックを組み合わせた造語として誕生した。その後、対象は視覚や知的などの障害に広がった。このため「平行の」を意味する「パラレル」をあてた「もう一つの五輪」と解釈されるようになった
▼先日閉幕した五輪と並ぶ、共生社会の象徴と位置づけられるのだろう。共同通信が7~8月に全国の自治体の首長を対象に実施したアンケートでは、前回の東京大会後に共生社会の実現が「進んだ」との回答は「どちらかといえば」を含め73%だった
▼一方で「進んでいない」は「どちらかといえば」を含め26%。本県は全国より高い32%に上った。理由としては、障害者スポーツへの理解や関心が広がらなかったとする自治体が目立った
▼私たちメディアも自戒せねばなるまい。パラリンピックの熱戦をつぶさに報道するのは当然のこととして、大会の盛り上がりをその後にどうつなげるかを常に意識する必要があるのだろう
▼東京大会では競泳のほか、車いすのバスケやラグビー、さらにはボッチャなど、障害者スポーツの魅力を大いに味わった。設備やサポート態勢の整備など課題は多いが、障害の有無にかかわらずスポーツを楽しめる社会に向けて歩み続けたい。