流行「第6波」が十分に収束しないまま、本県で感染者数が再び上昇に転じている。
新年度が始まり、人と接する機会が増える中で、爆発的な感染拡大を招かないか心配だ。
県内で6日、882人の新型コロナウイルス新規感染者が確認され、過去最多を更新した。前週の同じ曜日より187人多い。
7日も840人に迫り、15日連続で前週の同じ曜日を上回っている。直近1週間の感染者数は前週の1・4倍に近い。
感染は本県を含む地方を中心に広がり、流行「第7波」が始まったとみる専門家もいる。十分に警戒しなくてはならない。
背景で指摘されるのは、歓送迎会が多い季節に加え、オミクロン株の派生型「BA・2」への置き換わりが進んでいることだ。
BA・2は従来型のBA・1より感染力が1・3倍強いといい、感染後に他の人にうつるまでの日数も短いとされている。
5月の第1週には国内の9割がBA・2になるとの予測もあり、感染が急増する懸念がある。
県内では現時点で病床逼迫(ひっぱく)は見られていない。ただ患者が増え続ければ、それに伴って重症化する人は確実に増える。医療に支障を来す恐れが高くなる。
感染は若い世代が顕著だ。これまでも流行の波の初期には若い世代の感染が増え、その後に高齢者に広がる傾向があった。
高齢者は重症化しやすく、その後の回復にも時間がかかる。高齢者を感染から守ることは、医療の逼迫を防ぐことにもつながる。高齢者にうつさないように周囲が注意を払うことは大事だ。
県内では65歳以上の高齢者の8割超が3回目のワクチン接種を完了した。一方、65歳未満は3割台半ばにとどまっている。20代、30代はさらに低い。
花角英世知事は「ワクチン接種が進み、感染者の高齢者の割合は減ってきている」と述べ、他の世代にも接種を呼び掛けている。
感染者集団(クラスター)の発生はワクチン接種が進んでいない子どもが多くいる幼稚園・保育所、小学校などで多い。
子どもへの接種を巡っては、副反応など体への影響を考え、踏み切れないという親もいる。
接種はあくまで任意だ。医師や専門家はウイルスから身を守り、感染者を減らす大きな手段だと指摘している。子どもの健康や家庭の状況を踏まえ、不安があれば医師にも相談して判断したい。
岸田文雄首相は感染に再拡大の兆候が見られるとして7日、若年層への早期のワクチン3回目接種や、検査の積極的な活用を促し、国民に協力を求めた。
私たち一人一人も改めて小まめな手洗いや換気を習慣づけるなど、基本的な対策を徹底し、再拡大に歯止めをかけたい。
