このままでは海外から投資を呼び込み、日本経済に勢いをつけようという再編目的を果たせない。

 市場は自らの価値を高めるため、経営改革を加速するよう企業に促し、厳格な企業統治の仕組みを築いてもらいたい。

 東京証券取引所の再編で、1部銘柄中心で最上位の「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業向けの「グロース」の3市場が始動した。

 市場活況の目安となる初日4日の合計売買高は約13億株だった。当初の思惑は外れ、再編前の1~2月の1日当たり平均と比べ、2割程度少なかった。

 プライムの225銘柄から算出する日経平均株価の終値は、週前半は小幅に上昇したが後半に反落、7日と8日の終値は節目の2万7000円を割り込んでいる。

 熱気に乏しい相場だといえる。低調な出足は投資家の期待の低さを象徴しているようだ。

 「流通株式の時価総額100億円以上」など厳しい上場維持基準を設けたはずのプライムに、再編前の1部から1839社と、8割超が横滑りしたからだろう。

 しかも、プライム全体の16%に当たる295社は基準に達していないが、経過措置という東証の「配慮」を受けて移行したのだ。

 時価総額の低い企業も含む玉石混交の状態だった1部を整理し、国際優良企業だけを厳選した市場とは到底言えまい。

 独立した社外取締役を取締役全体の3分の1以上にするなど、基準を満たしていない企業に、期限を切って早期の経営改革を迫る東証の本気度が問われている。

 一方、企業側は株主らに配慮した経営を進め、企業価値を高める企業統治の仕組みを築けば、株価の上昇要因にもなるだろう。

 本県関係企業では、14社がプライム、24社がスタンダードに移行した。プライム移行の経過措置を受けたのは3社で、基準達成に向けた計画書を提出した。

 株価を意識した中長期的な事業戦略を練り、国際的に資金を調達し、魅力的な企業に成長することを期待したい。

 市場を取り巻く環境は厳しい。円安による輸入物価の上昇、高止まりする原油価格が経営を圧迫する。新型ウイルスの感染再拡大、ウクライナ情勢も影を落とす。

 県経済をけん引する上場企業の業績が上がり、県内に多い中小企業の活性化にもつながることを待ちたい。