西日を和らげるため、自宅の窓に吊ったすだれにカマキリが姿を見せるようになった。おなかが大きいと思っていたら、編んだ竹の上に卵が産み付けられていた
▼しげしげと眺めていると、もう一つあるのに気づいた。さらには何かの虫のサナギのようなものも、すだれの隙間にしがみつくように付着している。日中はまだ汗ばむような日もあるが、虫たちは越冬の準備を着々と進めているのだろうか
▼日本には四季がある。けれど春と秋は以前ほど感じられなくなってきた。ことしもカンカン照りの季節から、冷たい雨や雪に震える季節へと一気に駆け抜けていくのか。虫たちに倣って、私たちも早々に冬の訪れに備えねばならないのかもしれない
▼気が重くなる予報が聞こえてきた。本県を含む北陸地方の12月~来年2月は平年より雪や雨が多くなり、大雪となる恐れが高まる見通しだ。日本に冬型の気圧配置をもたらすラニーニャ現象が発生する可能性が高いという
▼気象庁気象研究所は昨秋、一度にどっさり降る「どか雪」について、北陸は温暖化の影響で増えたとする研究結果を明らかにした。温暖化で沿岸では雪が雨となる一方、山沿いでは海水から供給されるなどした水蒸気量が増え、雪が一気に降るためとみられる
▼近年は暖冬傾向が強まっているが、ひとたび降り始めると、どか雪になりがちだ。日頃からの備えが、いっそう大切になるのだろう。冬支度の手始めに、カマキリが卵を産んだすだれも、そろそろ片付けようか。