J1アルビレックス新潟のサポーターである知人は、スポンサーにも忠誠を誓っているかのごときだ。買い物の際はクラブを支える企業の店や商品を積極的に選ぶ
▼スポンサーのメリットになればクラブ支援に力が入り、戦力の充実につながる。そんな効果を期待しての購買行動という。支援する側が個人消費と直接関わる業種でなくても、知名度やイメージが向上するなら利点になるだろう
▼逆に言えば、企業は支援するメリットがあるかどうかを冷静に見極めようとするはずだ。価値がないと見なせばスポンサー撤退という結論になる。オリンピックを巡っては、日本企業が協賛を見送る動きが相次いだ
▼最高位スポンサーだったパナソニックホールディングス、トヨタ自動車、ブリヂストンの3社がいずれも契約を継続しないという。東京五輪で汚職や談合事件が発覚して以降、企業の五輪離れが進んでいる
▼世界最大のスポーツイベントの商業化が進んだ結果、協賛金が競技の振興や選手の支援に十分に行き渡っていないと指摘されるようにもなった。五輪と企業との蜜月関係は、大きな曲がり角に差し掛かっている
▼大相撲秋場所の懸賞総数は過去最高だった。プロだけでなく、近年は学生スポーツや地域スポーツでも、企業などの支援で活動の充実を図る動きが広がっている。スポーツの側は支援にあぐらをかけないし、スポンサー側は企業の論理を押しつけてはなるまい。互いの「いい関係」を追求する努力は怠れないのだろう。