何事も成し遂げるには相応の年月が必要だと諭す格言は多い。「石の上にも3年」「商い3年」…。おおむね一つの節目は3年とされる
▼小欄は先日、野球は三振など3に縁があると書いた。そんな野球界でプロ3年目のシーズンを終えたのが、上越市出身で西武の滝澤夏央選手(21)だ。5月後半から1軍に定着し68試合に出場した。NPB(日本野球機構)1軍でシーズン50試合以上に出た本県出身の野手は、1990年代に日本ハムで活躍した渡辺浩司さん以来だ
▼スピード感のある内野守備を武器に、9日の最終戦でもショートを守り安打を放った。最終打率は2割を切ったが、代走や守備固めの起用も多く、チームに欠かせない役割を果たした
▼恩師の関根学園野球部監督、安川巧塁(よしたか)さん(32)は、出場全試合を録画しチェックしていた。「打線のつなぎ役に徹するという目的意識は伝わった。守備は本人も自信を持っている」。課題は打撃。変化球への対応だとする
▼高校時代は投手も務め、気持ちの強さが伝わるプレーや勝負強さが目を引いた。安川さんは「夏央に回せばなんとかなるとチームは思ったし、それに応える選手だった」と振り返る。昨冬から個人契約のトレーナーを付けるなどプロ意識は高く、試合後に連絡してくる律義さもあるという
▼身長164センチはNPB現役で最小兵だが、プロの世界で個性は強みになる。個性を磨き抜くプロセスに、見る側は夢を重ねる。この3年を土台にさらなる飛躍を。期待は尽きない。