通い慣れた道のはずだった。ところが沿道の建物が建て替えられたり、交差点が改良されたりして風景は一変。自分はどこにいるのだろうと困惑してしまった

▼例えるなら、こんな感じだろうか。衆院選がきのう公示された。「1票の格差」是正のためとして、本県は今回から小選挙区が6から5に減り、区割りも変更された。選挙の様相が大きく変わることになった

▼有権者によっては、1票を投じる候補者の顔ぶれががらりと入れ替わった。見慣れない候補者ばかりになり、誰に入れていいか戸惑うかもしれない。所属政党を判断基準にする手もあるが、候補者の人柄や個性が気になる人もいるだろう

▼区割りも激変といえる。佐渡市は旧2区から、新潟市中央区などとともに新1区になった。旧5区だった南魚沼市などは新5区への変更に伴い上越地域と一緒になった。地域ごとに環境や課題は異なるから当面は違和感を抱く人もいるだろう

▼戸惑いは選挙を戦う候補者自身にもある。前職の一人は以前の取材に「全有権者のうち3分の2が新しい選挙区になる。とても回りきれず、時間がない」と焦りをにじませていた。集票戦術も変更を余儀なくされるのだろう

▼新しい風景に戸惑うのは無理もない。なじみの候補者に投票できないと嘆く人もいるかもしれない。ただこの機会に、見慣れない候補者の公約をチェックしたり、街頭演説を聞いてみたりしてもいい。大切なのは、私たちの手にある投票の権利をしっかり使うことだから。

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