東北の暮らしを支える大動脈の復活だ。観光地がにぎわいを取り戻すことを望む。ビジネス関係の往来が増え、地域経済が活性化することも期待する。

 最大震度6強を観測した地震で脱線し、一部運休が続いていた東北新幹線が14日、約1カ月ぶりに全線で運転を再開した(写真)。秋田、北海道両新幹線も東京への直通運転が可能になった。

 復旧作業がJR各社の協力を得て順調に進み、当初見込みより6日ほど前倒して再開された。在来線やバスによる長旅、制約の多い飛行機での移動を余儀なくされていた利用者と共に喜びたい。

 JR東日本によると、設備の完全復旧にはなお時間がかかる。応急処置的な方法で修繕した箇所もあり、一部区間はしばらく最高速度を平常時の半分の160キロに落として運行する。

 本数を8、9割程度に抑える臨時ダイヤで、通常ダイヤに戻るのは春の大型連休後の見通しだ。

 安全性を確保した上で、JR東は早く通常ダイヤにし、高速交通インフラを整えてもらいたい。

 脱線原因については運輸安全委員会が調査、解明する。

 注目されるのは、新幹線車両が装着している「逸脱防止ガイド」だ。L字形の金属板を車輪の横に付け、脱線時にレールに引っかかり、横転など車体が線路から大きく外れる事態を防ぐ。

 中越地震の際、時速約200キロで走行中の上越新幹線が脱線したのを教訓にJR東が開発した。

 今回は脱線した車輪が60軸あり、50軸でガイド等がレールにかかる状態だったという。一方、脱線幅の最大は約1メートルで、対向する上り線側にはみ出していた。

 ガイドは有効だったのか、他の対策と合わせ、きちんと調査するのは当然だ。国土交通省とJR各社は、中越地震後に発足した「新幹線脱線対策協議会」で議論を深めてほしい。速やかに対策を講じることは鉄道事業者の責務だ。

 脱線以外の被害も大きい。線路や高架橋などに約千カ所の損傷が見つかった。なぜ損傷したのかの検証が不可欠だ。耐震対策の見直しを迫られる可能性もある。

 JR東は高架橋の耐震補強工事を進めている。工事済みの柱には損傷がなかったというが、工事未了の高架橋は多い。そこが損傷すれば、脱線を引き起こすレールのゆがみにつながりかねない。

 県内には上越、北陸両新幹線が走る。設備などを急いで点検し、新幹線を安全に運行してほしい。