ハロウィーンの飾りといえば、怖い顔をしたオレンジ色のカボチャが有名だ。くりぬく前のカボチャが、近所のスーパーにも並んでいた。多くは観賞用の品種で、食用に適さないという

▼同じオレンジ色のカボチャでも、魚沼市の「あかもん」の味は折り紙付きだ。福島県金山町の赤カボチャの種を譲り受け、2017年に栽培を始めた。現在は市内を中心に35人が生産する。ほくほくの食感と、熟した時のしっとりとした甘みが特徴だ

▼地元の広神西小児童が、あかもんの栽培に取り組んで3年目になる。学校の畑に苗を植え、夏休みも交代で草刈りやつるの剪定(せんてい)をして育ててきた。今年も150個ほどを収穫し、近所の直売所で児童が手売りした

▼柏崎市の北条小児童が育てているのは、皮が鮮やかな緑色の「つららなす」だ。やはり地元の特産で、身が締まっていて煮崩れしにくい。加熱するとうまさが増すが、浅漬けもお薦めだ。手分けして水やりや収穫を担い、おいしい食べ方を調べて地域の祭りで販売した

▼丸々と太った赤いカボチャも緑のナスも、暑い夏に子どもたちが流した汗のたまものだ。売上金で広神西小は本を買い、図書室に「あかもん文庫」を設けた。北条小は、地震に見舞われた石川県能登地域の復興に役立ててもらおうと寄付する

▼母校で学ぶ友達や後輩のため、被災地で困っている人たちのため。いずれも児童が話し合い、自分たちで決めたという。野菜だけでない大切なものが児童の心にすくすく育っている。

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