先月27日の夜を思い出してみる。衆院選の投票が締め切られた午後8時と同時に、報道各社が出口調査を基にした結果の予測を速報した。わが国では近年、見慣れた光景だ。実際の開票作業も順次進み、翌朝までには議席が確定した
▼大統領選の投票日を迎えた米国ではどうだろう。事前の情勢調査はまれに見る大接戦だった。出口調査で結果を予測するのは難しいはずだ。開票は日本時間のきょう午前に始まるが、作業の進め方は州によって異なるので、結果の判明には数日かかる可能性があるという
▼2000年は南部フロリダ州で大接戦となり、票の再集計を巡って最高裁まで争われ、勝者が決するまでにはおよそ1カ月を要した。20年の前回も郵便投票の開票作業に時間がかかり、結果判明は4日後だった
▼郵便投票は今回も多い。開票が一定程度進んだとしても、ハリス氏が優勢となればトランプ氏側が前回と同様に「不正があった」と主張するかもしれない。そうなれば法廷闘争に持ち込まれるなどして、決着までに相当の時間が必要になる
▼選挙結果は国際政治にも大きな影響を及ぼす。結果が判明するまで、世界はじりじりしながら待つしかないのか。選挙の行方をにらみながら、各国の思惑も入り交じって、一種異様な時間が流れることになりそうだ
▼大統領選挙人の制度など、米国のトップ選びには前時代の伝統が色濃く残る。結果判明に時間がかかるのも伝統だろうか。もう少し何とかならないものかと思ってしまうが。