もしもトランプ氏が、米国大統領に返り咲いたら-。これを縮めた「もしトラ」の4文字が、ここしばらく取り沙汰されてきた。「もしも」ではなく、勝者は「やはり」トランプ氏だった。日本時間のきのう、米国の主要メディアは同氏が勝利したと伝えた
▼「もしトラ」が世界経済に与える影響を、専門家が人工知能(AI)を使って予測したことがある。7月にトランプ氏が大統領選の共和党候補指名を受諾した際の演説などをAIに読み込ませ、大統領になった場合のシナリオの作成を指示したという
▼AIは、減税や規制緩和によって米国経済が活性化する可能性があるとした。一方、輸入品に高関税を課す保護主義的な政策で、世界貿易が縮小するリスクも指摘した。短期的な経済効果が期待できる半面、長い目で見れば危うさもはらんでいるようだ
▼AIには、人間では予測しづらい「想定外のシナリオ」も尋ねた。中国が推進するデジタル人民元に対抗して「デジタルドルの導入を急ピッチで進める」といった政策を示したそうだ
▼前回の在任中、米朝首脳会談などで世界をあっと言わせてきたトランプ氏だ。大統領に再び就任した後はAIでも予測できないような行動を起こすことも十分あり得る。世界はその一挙手一投足を、固唾(かたず)をのんで見詰めることになるのだろう
▼米国第一主義も、予測不能な動きも「やはり」トランプ流といえようか。米国政治の転換は国際政治の転換にもつながる。強い風が吹き始めたのだろうか。
