東京で開かれている美術展の案内をもらった。それは「オタケ・インパクト」という展覧会。インパクトを名乗るのだからよほどの衝撃作なのだろう。ただ、片仮名のオタケが意味するものが分からなかった
▼案内チラシを読み進め、それが本県出身の尾竹3兄弟についての展覧会だと気づく。尾竹越堂(おたけえつどう)、竹坡(ちくは)、国観(こっかん)の3兄弟は明治から昭和に日本画の分野で活躍した
▼案内にはさらに「過激」「奇抜」との論評が並ぶ。そこまで奇抜だとは知らなかった。そもそも過激な日本画とは何か。確かめたくて都内の美術館を訪ねると、賛辞があふれていた
▼展覧会芸術の申し子、日本画史の到達点-。びょうぶに静かに収まる日本画とは異なり、無数の魚やタコが跳ねていたりする。そうした表現は革新的だと評される。とにかく「規格外の日本画」なのだという。何よりその生き方がとがっていた
▼美術界の大御所に意見することもためらわない。そのせいか、展覧会芸術の申し子とまで呼ばれた3兄弟がそろって落選する憂き目に遭った。だがめげない。兄弟は、展覧会にぶつける形で落選作を集めた展覧会を開いてみせた。作品だけでなく生き方も規格外であったがために、美術史から次第にこぼれ落ちていったらしい
▼いつの時代も、出るくいは打たれてしまうのか。だが卓越した画業は葬られることなく、こうして光が当てられる。反骨の先人がいたことが誇らしい。新潟から離れた東京での絶賛ぶりは、オタケブーム到来を予感させる。