なんとなく見始めたテレビドラマに引き込まれてしまった。泣かせる展開があり、配役の妙も感じる。NHK火曜夜放送の「宙(そら)わたる教室」を毎週楽しみにしている
▼定時制高校の科学部を巡る実話に基づく物語だという。学習障害や起立性調節障害があったり、外国出身だったり、学びの場からこぼれ落ちがちな事情のある生徒たちが、実験に熱意を膨らませていく姿が描かれる
▼「いい思い出なんかいっこもなくても、引きこもってた時期があったとしても、学校に行きたいって気持ちはきっと、なかなかゼロにはなんねーんだよ」。伊与原新さんの原作にはそんなせりふがある。自然現象の謎などを解き明かす科学部という舞台装置を使って、学ぶことへの純粋な欲求を浮かび上がらせる
▼昭和の終わりごろ、本県には定時制課程を持つ公立高校は約20校あったが、現在は単位制に移行しつつ半減した。少子化の一方で、ニーズの多様化に対応する私立の通信制高校が増えている側面もある
▼来年度の県内公立高の募集計画が公表された。本年度より全日制で15学級、600人減らすという。わが母校も1学級減り、かつての1学年8クラスがとうとう半分になる。学校行事も部活動も記憶に残る風景とはすっかり趣が異なるだろう
▼一抹のさみしさを感じるが、冒頭のドラマはじんわり投げかけてくる。たった数人の教室でも価値ある学びはできる、学び合う喜びは味わえるものだと。いやそもそも、少ないからこそ実現しやすいのか。