補助金が拡充されれば、燃油価格高騰で家計が受けるダメージを抑えることはできるだろう。だが原油高の長期化が見込まれる中、補助金頼みの対策をどこまで続けられるかは不透明だ。

 政府や与野党はその場しのぎでなく、先を見据えた抜本的な対応策を探ってもらいたい。

 自民、公明、国民民主3党の幹事長は、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の凍結解除を先送りすることで合意し、代替策として石油元売り会社に支給する補助金の拡充を打ち出した。

 政府、与党は補助拡充を月内にまとめる物価高の緊急対策に盛り込む方向で最終調整している。

 現在の補助は、レギュラーガソリン1リットル当たりの価格を全国平均で172円程度に抑えることが基準だが、今後は168円程度にする方向で調整する。

 燃油価格高騰を受けて政府が補助金支給を始めたのは今年1月下旬だ。当初は1リットル当たり5円が上限だったが、対応できなくなり、3月上旬に25円へ引き上げた。

 政府は今後、補助上限を25円からさらに引き上げる方針だ。実現すれば価格高騰時に約25円の課税を停止するとしているトリガー条項の減税幅を上回ることになる。

 日常的な移動や仕事に自動車を用い、燃料の使用が多い本県など地方に配慮したものだろう。

 花角英世知事は20日の記者会見で、原油の高騰や急速な円安が県内経済に与える影響を懸念し、補助金拡充に理解を示した。

 だが補助額を引き上げれば国の財政負担はさらに膨らむ。物価が広く上がる中で、燃油価格だけを手厚く補助するのでは、公平性を問われることにならないか。

 当初、激変緩和として始めた補助を5月以降も継続することや、予備費を念頭に検討している財源についても説明が不可欠だ。

 懸念されるのは、国際情勢の変化だ。ウクライナ情勢などに左右され、原油価格が大きく下がる状況にはない。

 3党はトリガー条項の凍結解除自体は先送りしたが、協議の枠組みは維持することにした。

 凍結解除を巡る議論では、トリガー条項の実施には法改正が必要で実現に時間がかかるほか、買い控えや駆け込み購入といった流通の混乱、ガソリンスタンドの事務負担など課題が多く、現実的ではないと判断したという。

 高いハードルがある中で協議を継続するとしたのは、7月の参院選を見据えて野党の分断を狙う自民と、物価高騰対策を実績としたい公明、政策実現を期待する野党・国民民主の利害が絡んでいるとも指摘されている。

 政治的な思惑があまりに透けては、国民の生活を最優先に検討したのか疑念を持たれかねない。各党は真摯(しんし)に協議し、打開策を示してもらいたい。