エネルギーや食料価格の高騰など課題が山積する中で、対立を深めるばかりでは存在意義が問われる。参加国は対ロシアで連携し、協調体制の再構築を急ぐべきだ。

 日米欧の先進国に新興国を加えた20カ国・地域(G20)は20日、財務相・中央銀行総裁会議を米国で開催した。

 ウクライナ侵攻を続けるロシアをG20の枠組みから排除するかどうかを巡って参加国間の対立が浮き彫りになり、恒例の共同声明は見送られる異例の展開となった。

 欧米の代表はオンラインで出席したロシア代表の発言時に退席して抗議を示した。

 侵攻後、初のG20閣僚級会議だったが、成果に乏しく、戦争終結の糸口も見いだせずに終わった。残念と言わざるを得ない。

 会議の焦点となっていたのは、ロシアに厳しい経済制裁を科している先進7カ国(G7)と、ロシアと友好関係にある中国やインドなどが一致して、世界経済を安定成長の軌道に戻すための道筋をつけられるかどうかだった。

 世界経済は資源や食料価格の高騰でインフレが続き、これにウクライナ情勢が拍車をかけている。

 国際通貨基金(IMF)は、2022年の世界全体の実質成長率は3・6%となり、21年の6・1%から大幅に落ち込むとの見通しを示している。

 収束の見通しがつかない新型コロナウイルス禍や、低所得国が抱える巨額債務なども世界経済に影を落としている。

 G20の会議はこうした危機感を共有し、解決策を見いだすべきだったが、議論は深まらず機能不全に陥った。

 会議でG7側は、世界的なインフレの加速はロシアのウクライナ侵攻に要因があると訴えた。

 鈴木俊一財務相はロシア側の発言時、退席せず「ロシアの行為は断じて容認できない」と非難した。

 これに対し中国は「経済議題の政治化に反対する」と発言し、ロシアを擁護した。インドやブラジルなどはロシア批判を避けた。

 これまでも中国やインドなどはG7の制裁が経済を悪化させると主張してきた。

 G7は、即時停戦が経済回復に欠かせないことを参加国に訴え、対話を重ねてほしい。

 G20の会議後、G7はロシアのG20参加を「遺憾」とし、ロシアへの経済制裁を強化する方針を声明で明らかにした。停戦の見通しがない以上、やむを得まい。

 G20の議長国であるインドネシアは会議の総括文書を発表し、「戦争とそれに関連する全ての行動が世界経済の回復を妨げるとの認識を共有した」と明記した。

 G20の会議を対立の場でなく、国際協調を掲げる枠組みに再生するにはどうするべきか。国際社会は課題にしっかり向き合わなくてはならない。