学校や教育委員会が適切に対応していれば、命を救えたのではなかったか。

 北海道旭川市でいじめを受けた疑いがある中学2年の女子生徒が昨年3月、凍死した状態で見つかった問題で、事実関係を調査してきた第三者委員会は、中学の先輩ら7人が関与したいじめがあったと認定した。

 第三者委によると、生徒は2019年4月の中学入学直後から性的な動画をLINE(ライン)で送らされたり、わいせつな行為をするよう要求されたりするなど、いじめを繰り返し受けていた。

 人間としての尊厳を深く傷つけられた生徒のつらさを想像すると、胸がふさがれる思いがする。

 2カ月後には他の生徒の前でからかわれ「死にたい」と話し、川に入る自殺未遂を起こした。昨年2月に失踪し、同じ3月に遺体で見つかった。

 親はいじめを学校に何度も訴えていたにもかかわらず、学校や市教委は真摯(しんし)に受け止めず、いじめと認めてこなかった。

 市教委がいじめ防止対策推進法の「重大事態」と認めたのは、問題を指摘する報道があった後の昨年4月になってからだ。いじめを訴え続け、第三者委の調査で今回認定されるまで3年もかかった。

 市教委は先日、この問題に関し、いじめがあった19年時点で「重大事態」として調査を検討すべきだったとし、対応の遅れを事実上認めた。関係者の責任を厳しく問わねばならない。

 遺族側は、学校や市教委がなぜいじめはなかったと判断したのか疑問が残るとして、いまも不信を募らせている。

 いじめと死亡の因果関係も不明のままだ。

 第三者委は調査を続け、8月末をめどに最終報告書をまとめるとしている。疑問点を徹底的に調べ、明らかにしてもらいたい。

 いじめを訴えて、その後死亡する事例は本県でも後を絶たない。

 16年11月に県立新潟工業高1年生が嫌なあだ名で呼ばれるなどのいじめ被害を訴えて自殺した。

 県教委は今年3月、学校がいじめ防止法に反し適切な対応を取らなかったことが自殺につながったと認めて遺族に謝罪した。

 燕市立吉田中学校で昨年11月に女子生徒が転落死した問題では、女子生徒がいじめられていたと書いた遺書を残していた。

 市の第三者委は、今月中にも問題の背景などに関する報告書を公表するとしている。いじめの有無など全容を解明してほしい。

 県内の小中高校と特別支援学校が認知したいじめは20年度で1万7千件余りに上る。

 遺族が望んでいるのは、同じ悲しみを繰り返さないことだ。教育現場は、教訓をしっかり共有し、いじめの早期発見、早期対応に力を尽くしてもらいたい。