今週後半から始まる大型連休は、久しぶりに気兼ねなく出かけることができそうだ。それでも、新型コロナウイルスの基本的な感染防止対策を怠らないようにして休日を楽しみたい。
政府は大型連休中の移動について、感染状況が現状のままなら特に制限を求めない方針を示した。
感染が拡大して以降の大型連休は、緊急事態宣言が出されて県境をまたぐ往来や帰省を控えるよう求められるなどしていたが、3年ぶりに制限がないことになる。
重症者が少なく病床が逼迫(ひっぱく)していないことが大きい。
流行中のオミクロン株は重症化リスクが比較的低いとして、専門家から「社会活動を完全に止めることはないのではないか」との認識も示されている。
感染拡大を抑えながら、社会経済活動とのバランスを重視することに軸足が移ると言えよう。
米国はほとんどの地域でマスクが不要になるなど、海外では既にそのような動きが加速している。
そうした状況下で一部の自治体からは、感染症法上の位置付けを、5段階中で2番目に高い「2類相当」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」への引き下げを求める声も出ている。
2類では、感染者への就業制限や濃厚接触者の外出制限があり、影響が大きいためだ。
ただ、コロナウイルスは変異速度が速く、毒性や広がり方がそのたびに変わるため、慎重に判断すべきだと指摘する専門家もいる。
国内では重症者は少なくなったが、新規感染者数の高止まりが続いていることが気にかかる。
特に心配されているのが地方だ。今月に入り、1日当たりの新規感染者数が過去最多となった県が目立っている。本県では13日に過去最多の907人を記録した。
感染者集団(クラスター)も学校などで発生している。警戒を緩めることはまだできない。
オミクロン株は派生型「BA・2」が主流を占めるようになった。従来の「BA・1」型との遺伝情報が交じった「XE」の感染者も国内で確認された。
XEは「感染者の増加する速度がBA・2より12・6%速い」と報告され未知の部分も多い。感染状況に引き続き注意を払わなくてはならない。
社会経済活動が広がる中で有効な手だてとされるのがワクチンだ。厚生労働省は、米バイオテクノロジー企業ノババックスが開発したワクチンを、国内4種類目として承認した。技術提供を受けた武田薬品工業が製造するため安定供給が期待される。
一方、これまで県内ではワクチンの副反応の疑いが218件、うち20人の死亡が報告されている。
国の調査では因果関係は認められていない。とはいえワクチンには分からないこともある。安心して接種できるように、国はしっかりと調査を進めてほしい。
私たちは手洗いや消毒、換気、密の回避といった取り組みを続けていくことが大切だ。

